国際関係戦略研究所(IRIS)所長の
パスカル・ボニファス。
地政学の分野で著名なフランス人専門家だ。
彼の(米朝首脳会談が浮上する前の)
北朝鮮を巡る情勢分析を紹介する。
「金正恩はーあながち間違いではないがー
サダム・フセインとムアンマル・カダフィが核兵器さえ
手に入れていれば、命を落とすことなく政権の座にとど
まったはずだと信じている。
したがって、金正恩が非核化に同意する見込みは
短期的・中期的にはない。
いっぽう、ドナルド・トランプは大言壮語するわりに、
軍事的解決策がいくらでも手の内にあるわけではない。
仮に北朝鮮を攻撃すれば、アメリカの勝利は確実だ。
だが、その過程でソウルも東京も灰燼(かいじん)
に帰するおそれがある。
中国は北朝鮮の…体制の打倒を望んでいない。
そうなれば南北朝鮮が再び統一され、
中国との国境にアメリカ軍が駐屯することになるからだ」
こうした基本的な枠組みの中で米朝首脳会談が行われた。
安倍首相はこれまで、米朝首脳会談を
「期待する」と言い、その取り止めを
「支持する」と言い、取り止めを撤回して
やはり首脳会談を行うのを「期待する」と言い、
今回の会談の“成果”を「支持する」と言っている。
次は、今まで“蚊帳(かや)の外”だった日本が、
(アメリカを後ろ楯にした!)北朝鮮から
(拉致問題の解決とか過去の清算、非核化の費用など
という命題を掲げて)巨額の資金を“せびられる”
シナリオが待っている。
そのシナリオも「支持する」のか。